明けましておめでとうございます。今年も穏やかで幸せな年でありますように。
用人として長く藩主(たぶん海坂藩)に仕えてきた三屋清左衛門は、先代藩主の死去を機に家督を息子又四郎に譲り、隠居します。
悠々自適の隠居生活の徒然に清左衛門は「残日録」と名付けて日記を書き始めたのですが、息子の嫁の里江に「お父様、残日と言うのは少し寂しくはございませんか」と咎められます。
清左衛門は「いやいや、残日というのは死ぬるまでの残りの日のことではない。日残リテ 昏ルルニ 未ダ遠シ の残日だよ」と答えます。嫁と舅の微笑ましく麗しい会話シーンです。(三屋清左衛門残日録:藤沢周平より)
この時の清左衛門は54歳でしたが、私はすでに20歳以上も彼の歳を越しています。
さて、私の残日をどう使おうか…?
僭越ながら、今年の干支にちなんで千里の馬を見抜き育てる名伯楽たちの育成に微力を注ぎたいと考えます、老害を撒き散らさぬよう注意して。
今年もご指導の程、よろしくお願いいたします。
2026(令和8年)/1 後藤 忠
“道徳こぼれ噺” (第一話から読む)
第四十七話 パソコン使用とグループでの話合いの意図は?
道徳授業で他者から高い評価を得るには「パソコンの使用」と「グループでの話し合い」を必ず取り入れなければならないという考えが蔓延しています。
「ここでグループでの話し合いを取り入れた意図は何か?」、「ここでパソコンに文字を入力する活動を行わせたのはなぜか?」など疑問を感じる授業がとても多いです。
中心発問場面は、子ども同士がじっくり話し合い、道徳的価値の理解を深めさせたいところなのに、各々がパソコンに向かって考えを入力して交流するという学習活動でした。
子どもは一言も話さず、パソコンの入力に集中し、映し出される友達の考えを黙々と読んでいます。その15分間、子どもはずっとパソコン画面を見たままでした。
「お友達の考えと自分の考えを比べられましたか?」という教師の投げかけにも、子どもたちは画面から目を離しませんでした。
「話すことが苦手な子どもにとってこうした授業はとても有効です。一部の子どもの発言だけで進める不平等な授業からの脱却だと考えます。」
協議会で授業者は自信満々でした。
「話し手の表情からその思いを汲み取り、汲み取った思いをもとに自分を見つめるという活動がどれほど大切か。発言しなくても、話し手の言葉や声の雰囲気から話し手の真意を感じ取ることも大事な学びですし、話し手はみんながどんな表情で聞いてくれているか、その反応を見ながら話すということも大事な学習です。それが対話です。」
と私が話をしても、授業者も他の参加者も皆「??」という表情でした。
教師と子どもたちが心を通わせながら思いを交流し合う、それが道徳性育成の重要な基盤ではないでしょうか。パソコンの画面からはそうしたものは生み出されないと思います。 (HH氏」
第四十六話 おじいちゃんの朝ごはん
私の祖父はプロの料理人だった。
祖父の朝食は、スクランブルエッグ カリカリのベーコン バターをたっぷりぬった厚切りトーストと決まっていた。
子供の頃の私はその朝ごはんがホテルの豪華な食事のように見えて
「おじいちゃん、ホテルの朝ごはん食べたいなあ。」と時々ねだって作ってもらっていた。
高齢になった祖父は、入退院を繰り返しているような時でも朝食だけは自分で料理していた。
料理台に向かう祖父のピンと伸びた背筋。プロの料理人として生きてきた自信のようなものを感じ、その姿は私の目標にもなった。
祖父が亡くなり13年が経った。「おじいちゃんの朝ごはん」の味がたまに恋しくなる。
そんな時、スクランブルエッグ カリカリのベーコン バターをたっぷりぬった厚切りトーストに挑戦し、母を食卓に呼ぶ。
「おじいちゃんの朝ごはん できたよ!」
祖父の思い出話をしながら母と二人「おじいちゃんの朝ごはん」をゆっくり味わう日曜日の朝は、私にとって大事にしたい特別な時なのだ。 (濱野文葵氏:読売新聞「気流」原稿)
第四十六話 「ちょっとだけ」幸せな気持ち
やっと暑さもおさまり学校では遠足の季節なのでしょう、駅の構内に紅白帽をかぶった子供たちの姿を見かけることが多くなりました。
私が通勤に利用する電車には動物公園のある駅があります。その日は既に遠足の子供たちがたくさん座席に座っていました。「ごめんなさいね」と言いながら空いている車両に移ろうとしていたら、「どうぞ」と可愛いリュックサックを背負った女の子が私に席を譲ってくれました。
「ありがとう。せっかく座っていたのにどうして譲ってくれたの?」と聞いたら、「だって、ほら・・・」とシルバーシートの表示を指さしました。「ああ、お年寄りだから席を譲ってくれたんだね?」と私が言うと、女の子は改めて私の顔を見ながら「うん・・・ちょっとだけお年寄りかなあ・・って思って・・」と言いました。
私はおかしくなって、「ちょっとお年寄りって思ったんだあ。すご~くお年寄りに見えなくてよかったなあ。」と言ったら、周りの子供たちも引率の先生もクスクスっと笑っていました。
女の子は照れくさそうにちらりと私に視線を向けた後、窓に張り付いて友達とおしゃべりに夢中になっていました。電車から見える風景も遠足のワクワク感を高めるのでしょう。そして、動物公園駅に着いた時、「ありがとうね。気を付けて行ってきてね。」と子供たちに声をかけると「はい、行ってきます!!」と元気な声が返ってきました。
ちょっとお年寄りの私が、子供たちの楽しい遠足の始まりにちょっとだけ参加させてもらったようで幸せな気持ちになりました。 (濱野裕美氏:読売新聞「気流」原稿)
では本HPの内容について説明します。
左上のINDEX(A~F)をクリックしてください。すると次の各ページが開きます。
A 道徳科学習指導案作成(超)×3 入門
道徳科学習指導案作りの入門書です。
製本して使うと便利です。表紙と巻頭言を両面印刷し、次に1ページ(目次)から25ページまでを全て両面印刷します。それを順番に重ねて右綴じすると各レッスンが見開きの冊子が完成します。 「続きも読む…」
B 特別の教科 道徳の基礎基本
道徳科の指導方法や評価などの基礎基本(いろは)を載せています。教材研究や授業改善に役立ててください。
また、OJTなどでの研修資料としても使えると思います。自由に加工してお使いください。
C 教職あらかると
つれづれの教育問題や教職人生について思うままに書きました。お気軽にご笑覧ください。
D クローズアップ道徳科
このコーナーは、特に教育委員会指導主事、各道徳教育研究会役員、校長、教頭(副校長)、道徳教育推進教師、研修会講師、研究授業者など、道徳教育を指導・牽引する立場にいる人には是非読んでいただきたいページです。 「続きも読む…」
E 教材&道徳科学習指導案
今までたくさんの授業を参観し、「いい授業だなあ!」と思った授業の中から、ごく一部ですが学習指導案を載せました。(授業記録付きもあります。) 「続きも読む…」
F その他・寄稿等
親愛なる知人、友人から貴重な論文やご意見、情報などを提供していただき、許可を得て掲載しています。是非ご覧ください。
なお、本ホームページに掲載している記事、原稿、資料等の使用・引用・転載などはすべて自由です。
略歴等
神奈川県相模原市南区在住
1947年 新潟県糸魚川市能生 生まれ
1971年 玉川大学文学部教育学科(体育専攻)卒業
1971年~1972年 玉川学園久志高等学校教諭
1973年~1986年 東京都公立小学校教諭(1976年東京都小学校教育研究員、1980年全国小学校道徳教育研究会千葉大会発表、1985年東京都教育開発委員会委員)
1987年~1995年 東京都多摩市教育委員会指導主事、教育庁指導部指導主事
1996年~2007年 東京都公立小学校長(2002年全国連合小学校長会調査研究部道徳教育推進委員会委員長)
2008年~2015年 玉川大学客員教授等
元東京都小学校道徳教育研究会会長、同OB会会長
道徳指導研究会(道指会)相談役
日本道徳科教育学会 理事
東京都千代田区心の教育コーディネーター